2020年4月7日(火)、国は福岡県に対し「緊急事態宣言」を行った。「緊急事態宣言」を受けて、福岡県では5月6日(水)までの間、緊急事態措置を実施していくことになる。福岡県、福岡市では何が変わるのか、発表された対応内容をまとめた。
目次
緊急事態宣言を受け、福岡県の小川洋知事が会見。福岡県の対応は
4月7日(火)、福岡県新型コロナウイルス感染症対策本部長の小川洋知事は、国からの緊急事態宣言を受け、臨時記者会見を行った。その模様は公式ホームページの動画で公開されている。
会見で小川知事は、4月7日(火)時点で、福岡県全体で23件の感染者が確認され、累計199人(内、退院9人、死亡1人)と福岡県の状況について説明。「4月8日(水)から5月6日(水)までの1ヶ月間、今までの7つの事項に加え、新たに5つの取組みをお願いしたい」と協力を要請した。
宣言を受けた県の新たな措置は、(1)平日、週末、昼夜を問わず、生活維持のために必要な場合を除いて、外出を自粛すること、(2)職場への出勤は、外出自粛の要請対象とはならないが、在宅勤務、時差出勤、自転車通勤等、人とのまじわりを軽減するようにすること、(3)不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することは避けること、(4)感染拡大の恐れのあるイベント開催は控えること、(5)生活必需品の買い占めを行わないこと、とした。
今回の会見で小川知事は休業要請行わず、「国の基本的な方針は”外出の自粛”である」とした上で、「今後の感染の状況や、外出自粛の効果をみながら将来的に施設の休業要請を発動できるよう準備します」と述べた。また、「法的な根拠、裏付けのある要請となるため、受け取っていただく県民の皆様の受け取り方も変わってくる。今まで以上に取り組みが強化されることを期待しています」と強く訴えた。
福岡県からの具体的な要請内容まとめ
(1)生活の維持に必要な場合を除き、外出を控えること。
※生活の維持に必要な場合とは、医療機関への通院、食料、医薬品、生活必需品の買い出し、職場への出勤、屋外での運動や散歩などをいう。
(2)職場への出勤は、外出自粛の要請の対象としないが、在宅勤務(テレワーク)、時差出勤、自転車通勤など人との交わりを低減すること。
(3)不要不急の帰省や旅行など、都道府県をまたいで人が移動することは、まん延防止の観点から、極力避けること。
なお、都市封鎖(ロックダウン)とは異なる。
(4)換気の悪い「密閉空間」、多数が集まる「密集場所」、間近で会話や発声をする「密接場面」、これらの集団感染のリスクを高める3条件が同時に重なることを回避すること。
(5)感染の拡大につながるおそれのある催物(イベント)開催を控えること。
(6)手洗いの励行や咳エチケットに努めること。
(7)飲食料品や生活必需品の小売店等生活に必要な事業は継続されるため、食料・医薬品や生活必需品の買い占め等をしないこと
(8)新型コロナウイルスの感染症を疑った場合は、保健所に設置している「帰国者・接触者相談センター」へ電話で相談すること。
(9)発熱や咳など、風邪の症状があり、かかりつけ医を受診する際には、直接受診せず、必ず事前に電話で相談すること。
(10)海外の渡航について、外務省の勧告・指示に従うこと。
福岡市の高島市長、福岡市の私立学校の臨時休業や保育園の運営に言及
4月7日(火)、福岡市の高島宗一郎市長も臨時記者会見を行った。その様子は、自身のオフィシャルブログで公開されている。高島市長は、17日(金)までとしていた市立小中高校の臨時休校を5月6日(水)まで延長すると発表。休校中は、各家庭のネット環境などに合わせて、オンライン学習とプリント学習、学校などでのサポートをベストミックスで行っていくべく検討を進めていくという。
また、福岡市立西陵高校については、13日(月)以降、始業式や全校集会も含めて、全ての授業をオンラインで行う方針で準備を進めている。さらに特別支援学校については、現状デイケア対応をお願いしているが、逆に学校を再開するほうが3つの密をより避けることができると判断し、再開に向けて検討していると発表。
一方、休むことができない人(医療、介護の関係者や、保育園や留守家庭子ども会のスタッフ)も存在するという事に触れ、「警察や医療・介護関係者、保育施設勤務など、仕事上こどもを預けざるを得ない保護者の方以外は、緊急事態宣言の期間中、できる限り自宅で保育をするようにお願いしたいです」と要請。
休校延長期間中は春休みなどと同様に学童保育「留守家庭子ども会」を実施するが、保育所と同じくできる限り自宅などで過ごさせるよう協力を訴えた。なお、これを後押しするために、緊急事態宣言の期間中、保育園を休んでも退園扱いにはせず、さらに休んだ日数は、日割りで保育料を割引きをすると支援についても語った。
また、高島市長は会見の中で、「緊急事態宣言の期間中、毎週金曜日の正午にぜひみんなで『Friday Ovation』医療・介護関係者に感謝の拍手を」と提案。「これから1ヶ月、長い戦いになってきます。市民の皆様の冷静な行動力と、団結力もって、困難を一緒に乗り越えていきましょう」と訴えた。
福岡市からの具体的な要請内容まとめ
■臨時休業(4月8日(水)時点)
市立小学校・中学校・特別支援学校 2020年年4月7日(火)から5月6日(水)まで。
市立高等学校 2020年4月6日(月)から5月6日(水)まで。
■緊急事態宣言に伴う家庭での保育・見守りのお願い
・期間
4月8日(水)から5月6日(水)まで。
※状況によって延長する可能性あり。
・対象
福岡市内の認可保育所、認定こども園(保育部分)、小規模保育事業所等を利用する保護者のうち、家庭での保育が可能な方。
留守家庭子ども会を利用する保護者のうち、家庭での保育が可能な方。
・保育料の対応
家庭での保育をお願いした期間において、施設を利用しなかった日数について、月額の保育料を軽減(日割り)する。
保育料の軽減は、翌月以降の保育料での調整を原則とする。
なお、4月1日付保育所等利用決定者が、新型コロナウイルス感染症への対応として育児休業を延⾧する場合、復職期限を(6月1日まで)延⾧しているが、この間の保育料についても、同様の取り扱いとする。
・保育料の手続き
施設を利用しなかった日数については、施設から各区に報告。保護者の方での手続きはなし。
なぜ福岡が選ばれたのか
安倍晋三首相は、4月7日(水)の会見で福岡県を対象地域に加えた理由として、感染者数が倍増する期間が全国で最も短いことや、感染経路が不明の割合が高いことを指摘。福岡県の小川知事においても、その内容に触れ、「2月20日に最初の感染者が出て、40日間で29人まで増加、3月31日から4月6日までの7日間で、5倍を超える147人が感染しています。行動経路をたどっていくと、感染源がわからない方が4割を超えています。」と強く訴え、福岡県が選ばれた理由を語った。
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